生物部高1緒方蒼真君が日本鳥学会2024年度大会でポスター発表をおこないました。
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生物部高1の緒方蒼真君が9月13日~16日に東京大学にて行われた日本鳥学会2024年度大会でポスター発表をおこないました。タイトルは「所沢駅周辺の市街地におけるムクドリ集団ねぐらの観察」」です。以下、緒方君のコメントです。
高校1年の緒方です。僕は所沢駅の周辺に形成されたムクドリの集団ねぐらを中学1年の夏から毎日観察しており、今回はその3年分の成果を学会で発表しました。
観察した場所は周囲に大きな緑地も水辺もない市街地の鉄道駅ですが、毎日夕方になれば数千羽におよぶムクドリがそこで眠るために集まってきます。ときには、彼らの群れが一丸となって駅の上空をうねるように飛行する姿や、ねぐらとする街路樹に入ったあとに盛んに鳴き騒ぎ、なかなか寝静まらない様子を目にすることもあり、それが人間活動が盛んに繰り広げられる観察地周辺の都市景観と相まって、ムクドリたちの溢れるような生命力を感じさせます。その光景を作り出すムクドリたちの行動についてより深く知りたいという思いが、今回の研究の原動力です。研究のため毎日観察に赴いてムクドリたちを見ることは楽しかったのですが、得られたデータを分析してまとめるという段階に入ると、それぞれの結果をどう自分なりに解釈し、論理的に関連させ結論を導くのか、なかなかスムーズには行かず、まとめる途中でデータの解釈を変更することもありましたし、全体の構成を組みなおすこともしばしばでした。
かくて臨んだ初めての学会、自分のポスターの前に立って説明してみると、やはり練習していても緊張で内容が飛んでしまったり、口ごもってしまったりしてしまい、意図したとおりのニュアンスを相手に伝えることの難しさを感じました。それでも会期中は何人もの人たちにポスターの前に立ち寄って説明に耳を傾けて貰い、多くの質問や意見を頂くことができました。聞きに来た人たちも野外調査などを通じて実際に鳥に関わっている人が多く、中には第一線で活躍する研究者の人もおり、自分の研究の内容や今後の進め方について、本当に様々な視点からのアドバイスを頂きました。
コアタイム以外の時間では、講堂内で行われる口頭発表や、他の人のポスター発表を見てまわりました。会場では、生態や行動、進化史や形態、それに人との関わりまで、鳥にまつわるあらゆる分野の研究成果が次々に発表されてゆき、あちこちで鳥についての議論の輪ができあがっていました。そういった空気の中に浸り、鳥についてひたすらに思いを巡らすことは、普段なかなかできない、非常に刺激的なものでした。コムクドリ(ムクドリの近縁種)についての口頭発表で研究者の方へ実際に質問をしたことなどを通じ、自分も会場で交わされる議論の輪に加わることができたこともうれしく思います。
また、全国大会らしく、国内各地から参加者が集まってきていたことも印象的でした。年代も、小学生から、長年鳥学界を牽引してきたベテランまでと幅広く、中には本や研究記事で名前をよく目にする人や、最前線で活躍している憧れの人もおり、そういった人たちと鳥や研究について会話し、つながることができたのは、まさに夢のようでした。大人の中に混じって高校生以下の参加者も多く、全体で68名を数えたそうで、そういった同年代の鳥好きたちと交流することができたのもよい経験になったと思っています。
学会の場に行くことは小さいころからの夢でしたので、まず今回は発表者として参加する光栄に浴することができ、感無量です。今後は、今回の発表で得た視点や考え方についてよく考え、より踏み込んだ内容の研究を行い、来年度の大会にも出たいと思っています。最後に、発表準備に携わってれた、生物部顧問の宮下先生、茂木先生、僕の家族、そして日ごろから一緒に鳥を追いかけ続けている生物部の仲間に、深く感謝申し上げます。