大学で研究してみませんか 横浜国立大学理工学部数物・電子情報系学科訪問
TOHO Today高校
進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」の二つ目の特別講義が行われました。
7月27日(金)に、桐朋高等学校卒業で、横浜国立大学理工学部数物・電子情報系学科准教授荒川太郎先生の研究室を訪問しました。参加したのは、高校3年生1名、高校1年生2名、中学2年生1名の計4名です。
まず、荒川先生から工学(エンジニアリング)の意義に関する説明があり、続いて、光エレクトロニクスが、光ファイバ通信、光ディスク、レーザーレーダーによる自動運転など、さまざまなモノやサービスで利用されていることについてご説明いただきました。そして、提案→設計→試作→評価という工学での研究の流れをご説明いただき、本日の内容が、それぞれの一部を体験するものであるとのご紹介がありました。
その後、研究室の大学院生の方々のご指導の下、研究の体験をしました。
まず最初に、光素子(デバイス)の設計に関するシミュレーション体験をしました。コンピュータ上ですでに組まれているビーム伝搬法(光がどのように伝わるのかを、デバイスを細かく分けて一つ一つ計算する方法)をもとに、一本の光ビームを任意の本数に分岐することを目的としたデバイスである多モード干渉計(MMI)の幅を変えることで、光ビームの伝搬がどのように変化するのかを観察し、光ビームを3本に分岐する幅、長さを設計するという体験をしました。
次に、試作に関する体験として、クリーンルームを見学しました。微細な光素子(デバイス)を作製する際に、細かい塵やゴミがあると不良に繋がるので、一般の環境よりもずっと塵の数が少ない「クリーンルーム(防塵室)」と呼ばれる実験室内で光素子(デバイス)の作成が行われます。横浜国立大学のクリーンルームは、クラス10000とクラス1000の2種類の部屋があります。クラス1000とは、一辺約30㎝の立方体内に0.5ミクロン以上の大きさの粒子が1000個以下である部屋を意味するそうです。ちなみに、われわれの住む環境はクラス100万程度になるとのこと。クリーンルーム内では、人間が主な汚染源となるので、身体から塵を出さないよう、無人衣と呼ばれる服を着ます。
続いて、試作に関するもう一つの体験として、高解像度走査型電子顕微鏡による観察を体験しました。顕微鏡を用いた観察において、光学顕微鏡は解像度が低く1ミクロン以下のものは観察できないため、光の代わりに波長の短い電子線を用いることで高解像度を実現したのが走査型電子顕微鏡です。倍率は5万倍からで、優れたものになると100万倍近くにも達するそうです。この顕微鏡を使って、光素子(デバイス)が設計通りに作製できているかなどを確認できるとのことです。
さらに、評価の体験の一つとして、光素子(デバイス)の特性を測定することに関連した体験をしました。本来は、作製した光素子(デバイス)の発行特性や光透過特性を評価し、望んだ通りの光素子(デバイス)ができているかを調べたりするそうですが、今回はその装置を操作し、測定の一端を体験しました。
加えて、電子制御を用いて動く水素で作った電気で走るトヨタMIRAIへの試乗も体験しました。横浜国立大学所有のMIRAIに乗り、新しい技術に直接触れることができました。
参加した生徒の感想です。
横浜国立大学を志望していて、オープンキャンパスなどよりも学校のことを深く知ることができると思い、参加しました。正直、横浜国立大学に行くのは初めてだったので、立地や環境、学生の様子などについても知ることができました。研究の内容は、おおまかな説明を受けるだけだろうと思っていましたが、大学院生の皆さんが丁寧に細かく説明してくださり、驚きました。自分がどこまで理解できたかは心もとないですが、どんな研究がなされているのかを知ることができて、大変勉強になりました。特に、水素自動車の試乗、クリーンルームへの入室など、普段体験できないようなことまで体験でき、貴重な機会となりました。ぜひ荒川先生からご指導いただけるよう、受験勉強に励みたいと思います。(高3)
校内に掲示された目新しいポスターが偶然目に留まり、工学に興味があるのでなんとなく、といった軽い気持ちで参加しました。大学という場所自体ほとんど行ったことがなかったので、研究室がどんなところかなど想像もつきませんでした。「光エレクトロニクス」という研究内容を十分理解できたとまでは言えませんが、大学の研究室という環境がどのようなものかを自分で体験でき、とても良かったと思います。大学は、身近なようでいて、実際は意外に知らない場所なので、今回の研究室訪問に参加して、実感を持って大学を知ることができ、とても嬉しく感じましたし、良い機会になったと思っています。(高1)
自分の将来や進学についていろいろと悩んでいたところ、この企画の案内を見て、一つの参考になると思ったこと、それと、走査型電子顕微鏡を使ってみたいと思い、参加しました。正直、事前に思っていた以上に内容は難しく、現段階ではよくわかっていない面もありますが、参加して、大学院生の方からもお話をうかがうこともでき、学部について一つのイメージを持つことができました。また、水素自動車に乗れたこと、クリーンルームに入れたこと、顕微鏡を使えたことは、貴重な、良い経験となりました。今後の文理選択、学部志望の参考にできたように思います。(高1)