「在卒懇(在校生と卒業生の懇談会)」
高校2年生が、大学で研究に携わっている卒業生から、大学の学部や学科について学ぶ行事です。
「夏期講習(高2・高3)」
テーマ別のもの、大学入試の過去問を扱うもの、小論文の添削指導を行うもの、実験や生物の解剖を行うものなど、様々な講座を設置しています。
桐朋高等学校では毎年、高校から入学する“高入生”を迎え入れています。
中高一貫での教育カリキュラムの中、高入生たちはどのような想いで桐朋を選び、
新たな一歩を踏み出す決意をしたのでしょうか。
また、生徒たちが勉強や部活動・委員会活動に打ち込める環境をつくるために、
学校側ではどのようなサポートをしているのでしょうか。
2021年に入学した高入生の3名と、進路指導を担当する三堀先生にお話を伺いました。
将来を見据えた勉強、部活動、校外でのボランティア活動に打ち込む3人に、
入学前の想いや不安、これからの目標や将来の夢など、具体的に伺っていきます。
中村:自由な校風に惹かれたことと、自然に囲まれた環境です。中学の雰囲気を引きずりたくないなという気持ちがあったし、知らない人ばかりという環境をポジティブに捉えていたので不安はなかったです。
浦野:僕も自由な校風が良いなと感じました。進学への意識が高い学校なので、皆で切磋琢磨できるかなと。勉強については、桐朋中学では数学と古典が進んでいると聞いていたのでちょっと心配だったかな。でも、高入生だけの数学のクラスがあったり、古典の補講も行われたりするので安心しました。
森下:自由だけど生活のルールを守ろうとする節度があって、自分が成長できる気がしました。僕も中村くんと一緒で、同じ中学から通っている人が一人もいない中に入っていった方が成長できるかなと思いました。
森下:勉強に力を入れる子が多いし、自分の好きなことを貫き通せる感じ。僕は、桐朋に入ってから東日本大震災の教訓を伝えるボランティアを始めて、課外活動にも力を入れています。男子だけなのも良いのです。まわりの目を気にしたり格好をつけたりしないで、落ち着いて勉強もスポーツもできています。
浦野:勉強に打ち込んでいる人でもガリ勉とも言われないし、個性を大切にしているところが好きです。自然体の素の自分で居られるから心地良くて、学校生活が楽しいです。
中村:中学からいる子たちも積極的に接してくれて、あっという間に仲良くなれました。皆で協力し合って、学校生活が進んでいる感じです。
中村:授業中の雰囲気が良いですね。発言が自由にできるし、分からないところは丁寧に教えてもらえる。受け身の授業ではなくて、生徒と先生が意見を交わして考えていくことを大切にしていると感じます。
森下:そうそう。分からないことは、自分から求めると先生が時間を割いて教えてくれるよね。
浦野:僕も先生との距離が近いと感じます。職員室の出入りが自由なので、先生に質問をしやすいし、先生方は受験についての知識も豊富で心強いよね。
中村:国立駅から南に伸びる大学通りの自然が豊かな環境や、校内の充実した施設も気に入っています。ほっとできる空間もあって、僕は特別教室棟とHR教室をつなぐ外廊下が好き。休み時間に新鮮な空気を吸ったり、天気が良い日は富士山が見えたりします。
浦野:図書館は蔵書数が多く充実していて、読みたい本はほとんどあると思う。
森下:専門性の高い本も揃っているよね。
浦野:僕は野球部なので、専用のグラウンドがあって思い切り野球ができるのもうれしいです。
中村くんお気に入りスポットである外廊下からの風景。校内でも人気の場所のひとつ。
森下:やっぱり高2の修学旅行かな。旅行の前半の行き先は、僕ら生徒たちで相談して決めるから、準備段階から楽しみです。
中村:修学旅行は本当に楽しみだよね。あとは桐朋祭も。
浦野:僕たちはコロナ禍で通常の桐朋祭を経験していないからなおさらだよね。僕は、野球部の活動も楽しみ。大会で勝ち上がれるようにがんばりたいです。
毎年6月に行われる桐朋祭。例年来場者は1万人ほどであるが、
2021年は一般公開をせず行った。
中村:もともと獣医になりたいと思っていたんだけど、量子生物学に興味がわいてきました。物理と生物を組み合わせるのはおもしろそう。桐朋を卒業する頃には、幅広い知識を持っている人になっていたいです。
浦野:将来の夢はまだ決まっていないけど、一つの目標としては、可能性を広げていきたいので、AIについてやスポーツ科学とかも勉強したいです。あとは、桐朋の皆ともっと仲良くなって、ずっと仲間でいたいです。
森下:今の時点では、建築士を目指しています。そして、海外の大学で学ぶことに興味が出てきました。好きなものを、もっと好きになれるように学力もしっかり身に付けていきたいです。
森下:桐朋に入ると楽しいよ。入って良かったよ。自分から動けば、やりたいことと勉強が両立できるよと言葉を送りたいです。
浦野:僕も楽しいよと伝えたいです。桐朋なら何でもできる。自分の目標について詳しく助言してくれる先生もいるし、後悔はしないと伝えたいです。
中村:桐朋には個性が強い人たちが集まっています。自分が良いなと思う成長の仕方をしながら思うがままに生きてとメッセージを送ります。
インタビューの後半は、1年F組の担任千馬先生を交えて。
桐朋中学から桐朋高校に入学した“内進生”に、高入生へ抱くイメージや想いを聞きました。
進路指導部主任を務めるとともに、高入生の数学のクラスも受け持つ数学科教諭である三堀先生にお話を伺いました。
桐朋中学校は6クラスあり、高校で7クラスになるので、高校生のおおよそ1/7程度が高入生となります。1クラスの10人弱が高入生というイメージです。
高入生は、勉強についていけるか、中学からの内進生と馴染めるだろうかと不安を感じるかもしれません。でも安心してください。桐朋中学では、むやみに高校の内容を先取りをするわけではなく、深く掘り下げることを大切にしています。カリキュラムは、高入生も同じスタートラインに立てるように工夫されています。
ただ、数学のみ中学のうちから高校の内容を扱うため、高1から高入生のみのクラスを編成して授業を行い、高2終了時には内進生に追いつくようにしています。最終的には、高入生もしっかり力を発揮できるようになります。
数学は高入生だけのクラスということで、お互いが高入生同士だと分かり、高入生の友達の輪が広がっていきます。さらにそれぞれの部活やクラスの内進生とも知り合うことで、どんどん仲間が増えていきます。
高入生の入学は、内進生にも良い刺激になっています。担任をしていた時にも、新しい仲間が加わることで程よい緊張感が生まれ、それが勉強する姿勢に表れたり、自分を深く知ってもらおうという意識に結び付いたりして、互いに成長していく様子を目の当たりにしました。新たな出会いの中で個性を引き出し、高入生も内進生もお互いを高め合ってほしいですね。
高入生の存在は、いわば“新しい風”のようなもの。新鮮な空気が入って循環し、また新しい桐朋の空気が生まれます。高入生がいるからこそ今の桐朋があるともいえるでしょう。
桐朋では、生徒一人ひとりが自主を発揮できる環境を整えていますし、私たち教員が支えていきます。失敗があったとしても臆することなく、積極的に挑戦してほしいです。高入生も、桐朋に入学して進路企画に参加する中で、自分の将来について考え、進路を切り拓くきっかけにしています。桐朋には、宝物がたくさん存在しています。興味・関心があるものに対して素通りすることなく、自分の手でつかむ思いを持って入学してほしいですね。
高校2年生が、大学で研究に携わっている卒業生から、大学の学部や学科について学ぶ行事です。
テーマ別のもの、大学入試の過去問を扱うもの、小論文の添削指導を行うもの、実験や生物の解剖を行うものなど、様々な講座を設置しています。
授業や学校行事を通じて、内進生と高入生の距離は自然と近づいていきます。
代表的なものをいくつか紹介します。
4月
入学直後に、高入生同士のレクリエーション、内進生による校内案内、クラブ紹介などが実施されます。また、上級生の高入生からアドバイスをもらう機会も設けています。
5月
クラス対抗で球技を楽しみます。練習を重ねるだけでなく、オリジナルのTシャツをつくるなど、準備から生徒たちの手で運営します。
6月
文化部に入部した高入生は、さっそく展示や発表に参加します。また二学期以降、次年度の桐朋祭実行委員会に所属し、各委員会の委員長として活躍する高入生もいます。
7月
これまでは長野県白馬乗鞍岳登山が行われていました。2020年度から長野県安曇野地域での農家への民泊や農業体験をする行事へと変わりました。※コロナ禍の影響を受け実施されていません。
小学校、中学校、高校。桐朋に入学するタイミングは一人ひとり異なりますが、卒業する時には、それぞれが“桐朋の一員”であることに誇りを感じています。切磋琢磨してきた仲間との絆を大切にする。そんな生徒へと成長していきます。そして高入生も、内進生から刺激を受けて、桐朋生として、学内・学外問わず、自主的に活動範囲を広げていきます。
桐朋は、現在、新教育課程で目指している“自律的な学習者”を育むことができるよう、環境を整え、生徒たちのサポートに力を注いでいます。