高校部長メッセージ
「自主の精神」を養い、将来を切り開く力を身につける 高校部長 檜垣 卓宏
桐朋高校の主役は、豊かな可能性と個性を持った一人ひとりの生徒たちです。桐朋には、授業だけにとどまらず、生徒の知的好奇心や探究心を刺激する仕組みがいくつも用意されています。彼らは行事や生徒会、委員会活動や部活動などへの関わりを通じて、多様な仲間と出会い、互いを認め合いながら、自分で考え行動し、成長していきます。ときに、その成長ぶりは、階段を一気に駆け上がるような勢いに例えられます。一人ひとりの生徒が、この学園での学びと経験を通じて、自身の総合力を高めていきます。その土台となる、確かな学力と豊かな人間性を身につけて、民主的な社会の担い手としてふさわしい自主性と協調性に富む自立した人間へと成長する場が、ここにはあります。
伝統に育まれた自主の精神
桐朋の教育目標の中でも最も重要だと考えられているのが「自主」の精神です。自らの目標に向けて日々クラブの自主練習に熱心に取り組む生徒、仲間と協力し、より良い学校生活や充実した行事を作っていくことを目指しながら生徒会や委員会活動に励む生徒など、自学自習と創意工夫を心がけ、自分にとって大切な世界を持ち、理想や目標の実現に向けて努力を続けているたくさんの生徒たちを目にすることができます。こうした環境の中で互いに刺激し合い、「桐朋生」として着実に成長していくことが伝統として受け継がれています。桐朋はこのような生徒の自主性が尊重されている学校です。
個性を認め、互いに高めあえる仲間
桐朋では仲間との自主的な活動の経験を通じて、お互い同士がそれぞれ尊重しあう仲間意識が生まれています。桐朋は卒業生からとても愛されている学校で、多くの生徒たちが卒業後にも桐朋を訪れ、高校時代の思い出話に花を咲かせることが多くあります。その中で頻繁に出てくることばが「いいやつ」と「すごいやつ」です。学校生活の中で一緒に楽しみながらも、さりげなく寄り添い、気持ちを理解してくれる「いいやつ」がいます。頭の回転が速い生徒、運動能力が高い生徒、知的な探求心が旺盛な生徒、ムードメーカーになる生徒、リーダーシップのとれる生徒、縁の下の力持ちとなってくれる生徒など、自分よりも優れた魅力的な長所を持っている「すごいやつ」もいます。このようにお互いの個性を認め合う雰囲気が自分らしさを発揮できる環境を支えていると思います。また、才能にあふれ、知的刺激に富む仲間と過ごせることが互いを高め合える校風を作ってくれるのだと思います。
専門性が高く、生徒と気心の知れた間柄である教師陣
生徒の自主を支えるのが教職員です。専門性の高さを学外でも評価され、教材の作成、ラジオ講座の講師として活躍した者、オリンピックの候補選手に選ばれるなど競技を極めてきた者、専門分野だけでなく趣味の世界でもマニアックに取り組む者など、多種多様な教員の存在が刺激となり、生徒一人ひとりが自己を確立する意識を高めるきっかけになっています。また、本校は担任持ち上がり制で、学年を構成する担任陣が3年間さらには卒業後も生徒個々と深く関わり、気心の知れた間柄になっています。桐朋の特徴として、生徒と教員の結びつきの強さを挙げる卒業生も多数います。
思う存分活動することのできる充実した施設
創立75周年を記念した校舎の建て替えが2016年度に完成し、新たな環境に生まれ変わりました。高校の施設としては稀なプラネタリウムや天文ドーム、本格的な実験を安心・安全に行える理科の実験室、英語の「話す」「聞く」の技能の向上に繋がるCALL教室、男子校でありながら本格的な実習のできる設備を備えた家庭科教室など、充実した授業の展開できる教室を整えました。また、サッカー・ラグビー場とは別に野球場もある広大なグラウンド、5つの部屋を備え、種目に合った床ダンパーにより運動ストレスからの障害を予防する体育館、25mのプールなど、各種競技に思う存分取り組むことができます。
これからの時代に求められる資質として、「先行きの不透明な時代であるからこそ、多様な人々と協力しながら主体性を持って人生を切り開いていく力が重要になるということである。また、知識の量だけでなく、混とんとした状況な中に問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための資質や能力が重要になるということである」(高大接続システム改革会議「最終報告」2016年3月)と提起されています。受け身で学ぶのではなく、自ら考え主体的に取り組む姿勢を育むこと、まさに、桐朋が大切にしている「自主の精神」を養い、将来を切り開く力を体得することが肝要なのです。桐朋という環境を活かすのはきみ自身です。われわれと共に学び、新たな社会を築いていきましょう。