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大学で研究してみませんか スペシャル版 NHK報道局訪問

TOHO Today高校

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。今回は、スペシャル版として、2月4日(月)に、NHKを訪問しました。案内してくださったのは、桐朋高等学校卒業で、現在、NHK報道局社会部専任部長である堀部敏男さんです。参加したのは、高校3年1名、高校2年3名、高校1年9名、中学3年1名の計14名です。

最初に、国際放送である「NHKワールドJAPAN」のスタジオと、番組の制作をしているフロアを見学しました。

 

 

スタジオでは、放送の際、アナウンサーの前にある機材の仕組みやクロマキーを用いての他の映像との合成などについて紹介いただきました。

国際放送で取り上げるニュースを決める際には、日本の視点に偏らないよう、外国人のアドバイザーにも参加してもらっているそうです。生徒が「視聴者は、外国の放送局による番組もある中、NHKの国際放送を見ているわけですが、NHKならではの強みはどんな点にあるのですか」と質問したところ、「アジアを知らせる点で、アジアをよく知っているという強みがあるし、NHKの放送は、公正中立の点で海外からの評価も高い」とお答えいただきました。

その後、堀部さんから、「NHKってどんな組織?」をテーマにしたお話があり、NHKで働いている方々の様子をまとめた映像の紹介もありました。番組制作、取材記者、アナウンサー、技術職など、1万人あまりの方が働いていること、NHKでは同じ職種を続けるのが基本で、堀部さんもずっと取材に関わる部署に属していること、取材では、警察も掴んでいなかった情報を聞き出すこともあることなどをうかがいました。そのうえで、再び公正中立が話題になり、どう報道するかは担当者が集まって、ぎりぎりまで議論し、公正中立な報道になるように取り組んでいる、それとともに、大切にしているのが、これを報道したい、報道すべきだという取材記者の強い思いだとのことでした。突き詰めた取材をし、そこで確認できた事実に忠実に報道する、記者の姿を紹介いただきました。

 

続いて、「クローズアップ現代」の担当ディレクターやNHKスペシャルの責任者を務められ、現在は理事として活躍されている、桐朋高等学校卒業の中田裕之さんからもお話をうかがいました。

中田さんは、桐朋中1年生の頃の作文で「NHKのディレクターになりたい」と書いたそうで、「ルポルタージュにっぽん」「NHK特集」などのドキュメンタリー番組に憧れて、就職の際もNHKしか受けなかったとのことです。ディレクターとして現場を走り回っている頃は、どういう番組を作るか、どう取材するかなど、一日中番組のことを考えていて、編集の際には徹夜が数日続くなど、大変な苦労を重ねたとのことでしたが、放送後に視聴者から手紙をもらうなど、自分の仕事に反応があることに大きなやりがいを感じ、取材、番組作りを続けてきたと話してくださいました。生徒が「映像や音声も簡単に変えることが出きるし、情報操作もなされているようで、報道を信頼して良いのか、不安になる」と話したところ、「フェイクニュースなどが話題になる中で、まず、NHKだから信頼できるという、納得のいく報道をすることが大事だ。ファクトだけで納得を得られなくても、取材の過程、事実の背景や要因など、すべてを伝えることで信頼を得るようにしている。また、今のことだけを伝えれば、今が理解できるとは限らない。本当のことを知るには、経緯や背景を知り、歴史を掘り下げることが大切だ。クローズアップ現代やNHKスペシャルなどは、こうした思いで制作している」とお話しくださいました。さらに、生徒への期待として、「真偽を見極める力を持つことが大切だ。複数の情報に触れるなど、報道を確かめる努力を心がけて欲しい。そのために、情報に触れる際の、自分なりの軸を作っていけると良い」とのお話もありました。生徒からの「ジャーナリストや報道番組を制作する上でどんな力が必要か」という質問には、「ありとあらゆる力が求められる。取材する力、魅力的に伝える力、さらに、番組は組織で作るので、スタッフをまとめる力、他者の力を引き出す力が必要になる。だからこそ、この仕事は面白い。どんなに続けていても、正解がないので、いつまでも頑張れるのだ。そして、学生時代に目の前のことにしっかりと取り組み、自分の活動を突き詰めていく。その積み重ねで、人としての総合力が高まっていく」と教えていただきました。

続いて、堀部さんに、ニュースを制作しているフロアに案内いただきました。そこでは、SNSで発信されている情報から、事件、事故の情報をチェックし、その情報の信憑性、ニュースとしての価値を判断しているグループ、日本中から寄せられる映像をチェックしているグループなど、さまざまな様子を見学し、24時間体制で動いている報道の現場を実感することができました。さらに、夜7時のニュースで使われているスタジオや情報番組「あさイチ」のスタジオ、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺」のセットの様子などを見学しました。

参加した生徒の感想です。

・「報道」に興味があり、NHKの中を覗いてみたくて、参加しました。記者の方の悩みとやりがいについて、生の声を聞くことができ、大変勉強になりました。飾らず正直なお話により、リアルな実像を体験できました。私たちが普段目にしているモノの裏側、制作現場を肌で体験できたことは、とても貴重なことだと思います。今回は、特に報道フロアの雰囲気に浸ることができて、大変良かったです。ありがとうございました。(高3)

・マスコミ関係の仕事に興味があったので、参加しました。報道の現場の緊張感を肌で感じることができ、とても良かったです。現場にいる人全員で、NHKを作り上げているような気がしました。(高2)

・NHKのニュースはわりと保守的だと感じていて、どのようにしてニュースを選んでいるのかを知りたいと思い、参加しました。スタジオや放送センターの中まで見学でき、とても勉強になりました。また、記者をされていた堀部さんに直接質問できたので、NHKのことをより良く知ることができました。見学で特に印象に残ったのは、ニュースキャスターがカメラの方を見ながら原稿が読める仕組みを知ることができたことです。普通なら絶対に入れないようなところに入れたり、普段聞けないような話をしてくださり、本当にありがとうございました。(高1)

・出版や報道に興味があり、スタジオの見学もしてみたかったので、参加しました。現場で働いている人が、事前に思っていたより大人数で、実にスピーディーに仕事をしていたことに驚きました。NHKにいる桐朋の卒業生の方にたくさん会え、話を聞けて、とても良かったです。(高1)

・参加する友人に誘われて、参加することにしました。番組作りの規模が想像していた以上で、スタジオの裏にたくさんのスタッフの方がいて驚きました。普段、一般の人が入れないところに連れて行っていただいたし、OBの方から貴重なお話をうかがえて、参加して良かったです。今回の企画を開催していただき、ありがとうございました。(高1)

・NHKに興味があり、テレビ番組の制作現場に行ってみたいと思っていたので、参加しました。ニュースが放送されるセットやニュースができるまでの過程を知ることができ、参加して良かったと思います。とても内容が濃く、良い体験ができました。ありがとうございました。(高1)

・OBの方が活躍している様子を見学することで、自分の将来を考えるための参考にしたいと思い、参加しました。記者の方が徹底的な裏付けと議論を重ね、その上で報道することにより、公平性、中立性を保っていると聞き、報道に関わる方の情熱が直に感じられ、大変良かったです。政治・経済・犯罪・災害など、あらゆる場面での報道の重要性を知り、ますます記者という職業に興味が湧きました。高校生になる直前のこの時期に、OBの方の活躍の様子を知り、高校3年間の過ごし方について改めて考えることができました。このような機会を設けていただき、ありがとうございました。(中3)

*今回は、NHK内の見学でしたので、写真撮影を許可いただいた場所が限られ、掲載も少数に止めました。